学会の帰りに

学会に行ってきましたの.
とっても暑くて,ホテルからは出ることができませんでしたわ.

いろいろな演題やシンポジウムを聴いたのですが,うーんと考えさせられる議論がありましたわ.ここでステロイドをバーンと行きたいときに,他科のドクターから「感染症があるのでそれはだめ」とバーンと言われてしまった場合どうするか,という永遠のテーマ.

膠原病内科,神経内科や血液内科のように免疫がらみの疾患を多く扱っているドクターだと,そういうことはまずないのですが,TcellやBcellには大学卒業以来縁がなくなってしまっているキング・オブ・ドクターと思っている科のドクターなどとは議論が難しいことが多いのです.
もうずーっと前の話ですが,重症の成人麻疹にIVIG+ステロイドで治療していたら,わたしの横で聞こえるように某科のドクターが研修医に「感染症ステロイド使うなんて,信じられない」と言っていたことがありましたの.首絞めしようかと一瞬思ったのですが,そいつを相手にするのは,時間と感情の無駄遣いのような気がしたので,その場は聞こえないふりをしました.そいつの机の上に,呼吸器管理を要した麻疹の症例の日本語の症例報告でも置いておけばよかったかも,と後で思いましたわ.

でもって,帰りの電車の中で,他の科のドクターに敬意を払って対応してくれるドクターはどういう人か,というのをずっと考えました.これまで,わたしに敬意を払って対応してくれた人々の顔を思い起こしました.

まずは,よく勉強していて,自分が知らないことがこの世の中にたくさんあることを知っている人.このクラスターの人は,たぶんどんな相手に対しても敬意を払って対応することができるのです.彼らからは,担当患者が直接お世話になるだけでなく,診療上のヒントをたくさん与えてもらっています.

そして,ある時点から,急に敬意を払ってくれるようになった人.ある時点からというきっかけは,

その人の担当患者に発生した重症薬疹に対して,ヘビーな治療をした
その人がずっと抱え込んでいて診断がつかないでいた疾患の診断をつけた(これは多くは,血液疾患や自己免疫疾患がらみ)あるいは治療上のチップスを与えた
その科のレアな疾患を疑って対診を出したら,診断があたっていた

などです.
「いやー,これからはわからない病気があったら,服ひっぱがして全身みて,ちょっとでもぼちぼちがあったら,のりせんせいのところに対診依頼だすわ」なんて言ってくれたドクターの顔は今でも覚えていますわ.

でも,診断をつけたら,逆切れしてしまうドクターというのも少なからずいるのでした.まあ,ドクターカースト最下位のわたしとしては,そういう人のガラスのプライドをどのように傷つけないで仕事を進めるかはなかなか大変ですの.逆切れしてしまう人って,いろいろな意味でうまくいっていない方だったりするので.