ナゾの覆面座談会リクエスト

学会に行ってきましたの.そして,「女性医師離職問題を考える」というシンポジウムを聴いてきましたわ.
演者は,子供を3人育てながら,市中病院を中心にずーっと勤務していて,学会の会頭までしてしまう,というスーパーなせんせいでした.でも,会場には20代,30代といった,本来聴衆として想定していた属性の女医さんは,あまりいませんでしたの.それはたぶん,抄録を見ただけで,だいたい講演の内容が予測できて,「そのせんせいは素晴らしいかもしれないけれど,自分には同じことは無理」と思う人が多かったのかもしれません.
講演の中で,頭に残っているのは,仕事を続けるためのハウトゥとしての「子供が乳児の間はダンナに仕事をセーブしてもらう」「子供はお受験をさせない」ということでした.そして,「こんなに女医さんが離職するのは,はじめからモチベーションが高くないのでは?」という内容の話もありました.

女医さんの親の中には,「医師免許は使ってもよし,使わずにすめばそれはそれで幸せだし」なんて言う人はたくさんいるだろうし(かつての薬剤師免許とおなじね),高校生のころなんとなく勉強をしていたらそこそこ成績も良くてとくに行きたいと思う大学もないから親と同じ大学に入ってしまったなんていう人もたくさんいるだろうし,医者の父親から「脳外科とか循環器内科はとってもたいへんだから,女の子は皮膚科とか眼科でいいよん」なんて言われている人もたくさんいるだろうし,ぼーっとしているうちに医学部を卒業して皮膚科に入局してしまったひとはたくさんいるのだろうと思います.
そして,ここだけの話だけれど,皮膚科指定の縁談があったりするもの事実.「医学部に入れるくらいのオツムのお嬢さんが欲しいけれど,がつがつ働かれるとうちの子のメイワクなので,仕事はほどほどのひとがいい」なんてね.
あとは,男の医者で自分の同級生や後輩であるカノジョに,「あんまり忙しい科は選ばないでね」なんて言うのは結構多いはず.
たとえば脳外科を選んでしまう人なんかよりはモチベーションの平均が高いはずがありませんわ.でも,他の学会(除く眼科)よりは美人度は上だし,ファッションセンスの平均も高いですの.

『(前略)参加している女性のほとんどは専業主婦だ。
  HBS卒の女性の7割以上が専業主婦になる。
  旦那の稼ぎが良いと働く必要が無いのだ。』
という有名になってしまったTweetを思い出してしまいます.
どこの世界も同じ.
経済的に困っていない場合,たとえばダンナのインパクトファクターアップを犠牲にしてでも続けたいくらい仕事って楽しい?

女医さんの仕事と家庭の両立問題というと,お手本となる人が出てくるのだけれど,どうせだったら,仕事もずっと続けて子供も複数いてなんてお手本ではなくて,「仕事はいったんやめて主婦をしていたけれど離婚したのでガンガン働くようになりました.ブランクは思いのほか大きくて少しでもいいから続けていた方がよかったと反省しました」とか「専門医をとってから子供を産もうと思ったけれどぜんぜん妊娠しなくて,結局だめでした.専門医をとってからなんていっていないでさっさと妊娠」とか一般女性学会員からランダムに選んだ10人くらいを壇上にあげて,シルエットだけを映して音声を変えて座談会,なんていのも面白いのかも.そして各大学の教授・准教授・有名病院部長クラスで女医奥を持つせんせいにも10人くらい壇上に上がってもらって,音声は変えるけれどシルエットはばっちりわかるようにホンネ座談会「ウチは週2だけバイトしてます.大学の給料は安いのでとっても助かってる」「ウチは仕事やめたくないっていうので今は単身赴任です.単身赴任は気楽だよ〜ん」,なんてのも相手方の言い分という意味でも面白いかも.学会でしかできない企画ですわ.