15歳で人生決める?

高校卒業の18歳で医学部進学を決めるのは早すぎではないか,という議論をよく目にしますの.でも,今の日本では,18歳で就職する人もいれば,手に職系の専門学校へ進学する人もいるし,18歳でこのギョウーカイに就職してしまった,と思えばなんともないような気がします.アメリカ以外の外国では,日本と同じように,高校卒業後入学の国も多いはず.大学卒業後ではなく18歳で入学するからこそ,体力のあるうちに研修医になれるし.
世間ではあまり議論されてはいないことだと思うけれど,わたしがときどき気になるのは,高校の衛生看護科・5年制看護科のこと.衛生看護科だと,15歳で入学して,18歳で準看と高卒の資格がとれて,そのあと専攻科2年へ行くと20歳で正看の受験資格がとれます(いわゆる進学コースっていうヤツね).5年制看護科だと,15歳で入学して,20歳で正看の受験資格がとれます.この間文部科学省のサイトで,「早くから進路を決めている人には早く資格がとれる最適のコースです」なんて出ていたのを見たけれど,本当なのかしら?
外から見る限り,看護ギョーカイのひとびとは学歴にこだわりが結構あるような気がします.医学部はどこの大学であろうが6年.ヘンサチとおうちの財力によって学校を選ぶだけのはなし.でも,看護の世界はあまりにもいろいろなコースがありすぎ.4年制大学,3年制看護短大,3年制看護学校,2年制看護短大(今あるのかしら?),2年制看護学校,通信の2年制看護学校.思いつくだけでもこれだけあります.進学コース出身者は正看の中では一番下ということになっていて,「わたしは進学コースだから」というあきらめにも似た言葉を聞いたことは何回もあります.
そして,高校を卒業して,聖路加なり慶応なり北里なりに進学するには,ヘンサチもおカネも必要.でも,4年制を卒業する,を目標にした場合,3年生看護短大や3年制看護学校を卒業していれば,しばらく働いてから編入試験を受けることもできます.一方で,進学コースの人に対しては,編入試験の門戸を開いていない大学も少なくありません.また,就職先だって出身学校によって違うので,就職できる病院の卒後教育システムはかなり劣ると思うのです.卒前教育の差+卒後教育の差は,ため息が出るほど大きいのではないのかしら.主任さんとか看護師長のおうちの子供は,看護系に進学している場合,4年制看護大が多いような気がします(授業料が高いからタイヘンと言いつつ),
15歳でまだよくわからないうちに,「一番早く正看の資格がとれる」とひとから勧められるのかもしれないけれど,「正看のヒエラルヒーの中では一番下の身分とされているよ」と言ってはもらえていないと思います.たしかにヘンサチがそれほど高くなくてもおカネがなくても正看になれるのかもしれないけれど.
普通科の高校でなく,衛生看護科や5年制看護科を選択する中学生には,どんな進路指導がされているのかしら.