ポランスキー「初めての告白」

さっそく行ってきましたの,「初めての告白」.
いま,ロマン・ポランスキーは79歳.
戦場のピアニスト」が公開されたとき,ああ,これがポランスキーの遺作になるのね,と思って,映画館にリピートしましたの.作家は処女作にすべてがある,とよく言われるけれど,「戦場のピアニスト」はすべてがある遺作なのね,と思ったわたし.今から思うと,ほんとうにごめんなさいでしたわ.そのあと彼は,謎すぎる「オリバーツイスト」やら,小粋な「大人のけんか」やら,とっても素敵だった「ゴーストライター」を撮ったので,「戦場のピアニスト」は遺作にはならなかったのでした.
でも,「初めての告白」の中で,自分が死んだあとどの作品を棺に入れるか,と問われて,「戦場のピアニスト」と彼は答えていました.ある意味では遺作で,それから後の作品は壮大なおまけなのかしら.
ものすごく濃密は彼の人生.
彼の映画人生のエピローグのような「初めての告白」.
でも,次回作もちゃんとあるみたい.

映画館はマニア系の小さな映画館.客席数はわずか64でしたが,全部埋まってはいませんでした.すごくいい映画だと思うのだけれど,興業としてはささやかなものなのでしょう.同時上映として,彼の作品4作品がかけられるのですが,わたしは全部DVDを持っているし,おうちのプロジェクターでお酒を飲みながら観ればいいし,とお得な5作品前売り券は買いませんでした.「ローズマリーの赤ちゃん」なんて,せっかくニュープリントなのだから,六本木TOHOシネマズのプレミアシートで上映すれば,イメージフォーラムに来るような小難しそうな個性的ファッションもしくは地味ファッションのオタクお客(関係者の皆さんごめんなさい)だけでなく,オシャレお客がたくさん入りそうな気もするのだけれど.

わたしにとって,シアター・イメージフォーラムとか,ユーロスペースはわざわざ行くところで,ヒューマントラストとか今は亡きになってしまったテアトルシネマとかはちょっとふらふらと行ってしまうところで,TOHOシネマズはなんとなく行ってしまうところですの.
ローズマリーの赤ちゃん」はストーリーのほかにも,ミア・ファローのヘアスタイルやドレス,映画音楽もめちゃくちゃオシャレなので,すでにその良さを知っているような人だけを相手に上映するのは,なんだかとってももったいないと思うのです.なんとなく観てみたらステキだった!というのを,多くの人に味わってもらいたいですの.でも,興業っていうのは難しそうですわ.