カティンの森

ひとのすすめで,年が明けてから観に行きましたの.
映画館!というかんじの岩波ホールへ.
映画が始まり,なんだかとってもデジャブな気分.そう,画面が戦場のピアニストなのです.
わたしはなぜか戦場のピアニストを映画館で何回も観たのでした.
東欧の灰色の空と石造りの街並.
でも,カティンの森のほうが,より東欧という感じがしました.
それはなぜかって?登場人物が現地の言葉でしゃべっていたからです.
戦場のピアニストでは英語でした.
のだめカンタービレがフランス語でないようにね.

戦場のピアニストは少し救いがあるのですが,カティンの森には救いがありません.
隠れ住む屋根裏でシュピルマンがジャムをなめておいしい顔をするシーン,のようなものがありません.
ラストでのスタンディング・オベーションもありません.殺されて埋められておしまい.

ポランスキー監督にとっても,アンジェイ・ワイダ監督にとっても,人生の最後(の頃)に作った作品です(まあ,オリバー・ツイストも私は結構すきなのだけど).
戦場のピアニストはコマーシャル寄りの映画であり,カティンの森はプライベート寄りの映画なのでしょう.
いろいろ比べられることもあるのかな,と思いましたが,でも,と思うのです.

戦場のピアニストシネコンで大勢の人が見ることができました.DVDもたぶんじきにハッピー・プライス!なんてなるのでしょう.でも,カティンの森を観ようとしたら,それはもうたいへん.限られた映画館の限られた上映時間に行かなければならないのですもの.たぶんDVDも1回のみの発売,なんてかんじになるかもしれません.
内容的にも,カティンの森は1回観ると,しばらく観なくてもいい気分です.

世界中の大勢の人々が,とくに強い意志がなくても観ることができるのが戦場のピアニストで,観ようという意思があり,機会をつくることができる人のみが観ることができるのがカティンの森なのかしら.

この二つの映画の撮影監督が同じ人である,ということを今日初めて知りましたの.
なんだかとっても不思議な気分.