明日は奈良大淀病院事件の公判の日

まずはじめにお亡くなりになられた産婦の方のご冥福をお祈りいたします。

そして、それとは別に、良識的な公判が進行することもお祈りしています。

今日は、NHKでカリスマ助産師と呼ばれる女性の番組がありました。自宅出産だけで600人以上、と。
ちょっと怖いもの見たさもあって(ごめんなさいね)、テレビを見ました。

医療の介入がない自然なお産というのは、未開なジャングルの奥地に恋人と探検に行くような、わくわくして、うまくいけばとても感動と充実感にあふれるvoyageなのかも、と思いました。いろいろな助産院のホームページを見ると、出産費用は一般の病院や医院(除くゴージャス系)とあまり変わりはありません。でも、設備投資や人件費はあまりかかっていなくて、ウワサによれば税金も免除されていて、年間の出産数が少なくても、ペイするのでしょう。分娩が始まって夜中に呼ばれることがある、といっても、たとえば年間に40分娩だとすれば、1週間に1回も呼ばれないわけで、従事する人の心にもゆとりができるのだと思います。産婦さんは基本的に信者のようなかたばかりだと思うので、ひょっとしたら、病院以上にパターナリズムの場なのかもしれません。

でも、日本のお産の現場の99%は、病院や医院で行われるわけで、ものすごい量の仕事を淡々とこなす産婦人科医と病院・医院スタッフによって支えられています。過酷な労働でてんぱっている産婦人科医の映像というのも最近はよく見ますが、実はその傍らにはもくもくと仕事をこなす、名もない普通の助産師や看護師が大勢いるのです。常識レベルの安心と、できる限りの安全を、産婦さんに与えるために働いています。設備投資や人件費、行いうる医療のレベルから考えると、ものすごく安価な出産の場です。デザインはちょっとダサイが安くて丈夫で機能的なユニフォームのような、そんなイメージの場です。

わたしは、そんな名もない普通の産婦人科医やスタッフを、もっと大切に思ってほしい、と考えます。
奈良大淀病院の先生も福島大野病院の先生も、そんな名もない普通のドクターで、名もないスタッフとともに働いていたのだと思います。わたしはカリスマ助産師のかたについて、どうこう言うつもりはありませんが、このような番組を作ることが、普通に働いている人びとを傷つけなければいいな、と思いました。