番頭さん小僧さん理論

これは、ながらくある科の助教授をしていたせんせいが大学をやめてばりばりの急性期病院の部長として赴任することになったときに、外野のひとびとがいろいろ言っていたのをきいて、面白い!と思って、私の頭のなかでふくらんだ妄想ですの。

そのせんせいは、自分で点滴の指示をだしたり、ましてや点滴をしたりなんて日々から遠ざかってはや幾年、であったために、まわりから「つとまるのかー」なんてさんざん言われてしまったらしいのですが、そのなかで、「○○病院にはいい番頭さんがいるから大丈夫ですよ」と言ってくれるひともいたのでした。△△くんがしっかりしているから、せんせいは大学を辞めても、学会にたくさん行ったり、学会の座長をしたり、地元の講演会やセミナーの演者になったりすればいいじゃないですか、と。
番頭さん、なんていい表現なんでしょう。

部長=大だんな
ふだんはふらふらしていて、旦那衆のあつまりに出かけたり、俳句や碁のあつまりに出かけたりしています。対外活動に忙しくて、お店のことはあまりかまってられません。でも、いざ、奉行所から呼び出されたときなどは、ぱりっとした格好で出かけていきます。

副部長=番頭
働かない大だんなに代わって、店を切り盛りしています。店の繁盛は番頭さんのがんばりのたまものです。

医長=手代
番頭さんの手となり足となり働きます。よい手代がいると、番頭さんは楽です。

研修医もしくは研修医上がり=丁稚
次から次から仕事を命じられて大変です。ミスをすると、手代に怒られたり、番頭さんに無視されたりすることもあります。お休みもちょっとしかありません。

でもね、大だんなは小僧さんに優しいのです。ときどきこっそり小遣いをあげたり、道草のできるお使いを命じたりします。大だんなが優しいのは、働き者の番頭さんのお陰で、自分はあくせくしなくていいからです。そして番頭さんが仕事に集中できるのも、大だんながいい道具を買ってくれたり、人脈から適切なアドバイスをしてくれたりするからです。

どんどん妄想がふくらんでいきます。
でも、もう、こんな大店もだんだんなくなっていっているのでしょう。
いま、各地の病院では、番頭さんや手代の上のほうが次々とやめて、仕事が大変になっているのだけれど、行政は小僧さんの数を増やすことばかり気にしている、そんなかんじですわね。

アクセス解析