栄養課のおじさん

わたしが今働いている病院の給食は、外部委託です。正規雇用の栄養士+委託先の栄養士+委託先の調理員という構成です。たまたま医局にあった新聞の折込に勤務者募集が入っていて、時給と条件を知ることができました。コンビニのお弁当工場より安い時給のようなかんじです。非正規雇用の人の手による給食は、たぶんコスト的には病院の経済に貢献しているのでしょう。

わたしが一番初めに働いた病院と次に働いた病院は、栄養課が立派な病院でした(今はどうなっているかはわかりません)。どちらも栄養士で入職すると、まずは調理担当から入っていっていました。その次が治療食調理、その次に栄養士業務、というステップだったような覚えがあります。
2番目に働いた病院の栄養課では調理師の免許を持った人が調理にあたっていて、病院の近くに職員宿舎があって、若い人はそこに住んで、早出、遅番をこなしていました。
口腔がん術後の患者さんが入院してきたことがありました。もと料理人であったというその患者さんは、病院食のきざみ食やペースト食にいつも不満たらたらで、手をつけようとしてくれません。病棟担当の栄養士の人がベッドサイドに行っても駄目でした。最終的に、治療食調理担当の調理師の人(おじさん)がベッドサイドにやってきて、あれこれあれこれ、と。特別な○○(←ここには患者さんの名前がはいる)食を作ってもらえることになりました。その患者さんは、その後、原疾患の進行で亡くなってしまったのですが、○○食には満足していたようでした。
その頃は、病院経営も今よりゆったりとしていて、土曜日日曜日のお昼の給食は午前中に退院してしまった患者さんの分まで上がってきていたので、研修医のお昼ご飯は病院給食だったりしていました。「カレー甘い!」なんて文句を言いながらね。
お正月にはおせち料理がでました。もちろん、予定外の外泊に出てしまった人の分も上がってきているので、お正月には病院で働きながら、給食のおせち料理をたべました。お正月の前に、担当医のところには「餅許可」の書類が来ていて、許可を出した患者さんにはお餅がでました。

まだ、日本が豊かであった頃の思い出です。
今、病院勤務の正職員の調理師という人は(ゴージャス系産婦人科を除いて)だんだん少なくなってきているのかしらん、とふと思いました。

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