病院建築と機能評価

わたしが働いている病院は最近流行の5つ星病院ですの.
臨床研修指定病院
地域支援病院で
3次救急センターがあって
電子カルテ
病院機能評価受審病院ですの,ああ.
ただし,医局に無料のカプチーノはありません.

わたしが一番怒っていること,ものすごく外来がくさいのです,ああ.

悪名高い病院機能評価は,「患者様のプライバシーが守れる個室化された外来診察室」を要求しているようで,外来診察室は3×3×2.7の狭く閉ざされたコンパートメントです.その狭さの中に病院機能評価が要求する手洗いのできる洗面台を組み込んでいるので車椅子は方向転換ができません.
ほとんどの外来で窓はありません.なので,診察室の空気はよどんでいます.

5つ星病院では,建築費を安く上げるため?タワー式の1階2階を外来に当てているので,どうしても窓のない外来が大半になっています.
このあいだ,用事があって整形外科の外来に行ったら卒倒しそうになりました.
空気がもわーんと暖かくて,ブドウ球菌が繁殖していそうな甘いにおいがしています.
「ギプスを開けたときのにおいってちょっと懐かしいにおいなんだよね」とイケメンの○○くんが言います.ええっ.○○くんの髪の毛にそのにおいがついちゃいますわ.

天然の光が入り,天然の空気が流れる外来なんて,夢なのかしら.

もしもわたしが巨匠建築家だったら,外来はタワー式の入院棟とは切り離して,どの外来にも天然の光と風が入る低層の棟として,リラックスして人間らしい診察室が並ぶ設計にしたいですわ.
いくらプライバシーが守れても窓もない取調室みたいな外来がいいとは思えません.
外来診察室は取調室なのに,外来エントランスは光熱費かかりまくりの大空間吹き抜けですのよ.
建築雑誌では「アトリウムが」なんていっているけれど,わたしたちが欲しいのはアトリウムではなくてまともな日々の生活空間なのですが.

ちなみに看護師獲得合戦に負けた5つ星病院では7:1の対象外である外来ナースはきわめて低人数に抑えられているため,密室のような取調室外来では,患者さんと2人っきりになってしまうシーンが極めて多く,なかなか危険ですの,ああ.

ずっと昔に働いていた古い病院で,外来から中庭が見える診察室がありました.外のお天気がわかり,草木から季節がわかりました.でも,その病院の診察室では機能評価で合格点はいただけません.

なかのひと