病院建築と寂しい大部屋

わたしが働く病院の大部屋は,いまはやりの個室的多床室というものですの.
これは,ベッドが,ヘリンボーンに並んでいて,お互いの視線が合わないようになっているというものです.プライバシーが確保できる,というのが売り物らしいです.
でも,なんだか,いやだなぁ,っと思います.
どの部屋にいっても,ベッドの周りのカーテンは閉め切られたままで,4つのベッドがある部屋であるだけ.お互いにおしゃべりをするわけでもないようです.だって,顔があわないんですもの.お互いのお顔をみておしゃべりをすることができないんですもの.でも,常にお互いの気配は感じていなければならないという空間.

昔,ちょっとわけがあって,しょっちゅうフェリーにのっていたわたし.
わたしがのる航路のフェリーには,特等,1等,2等がありました.
特等はベッドが2つあって,デッキにテーブルセットがあって,大型TVで映画をみたり,デッキに出てビールを飲んだりできるお部屋でした.とっても快適.でもお高い.
2等はたたみにごろねです.トランプをしたり,酒盛りをしたり,という空間.どうせ激安料金なので,なにも期待していないし,まあそんなもの.
わたしは1等が嫌いでした.
1等は,航空機のデラックスシートみたいなシートが置かれているのですが,それが2人分ならんでいるのではなく,いきなり1人分のシートが間をあけて並べてあるのです.連れがいても,離れていて寂しいし,連れがいなければ,それはもうとっても孤独です.特等室に1人でいるより寂しいのです.お金があれば特等室,なければ2等室,それで十分.

中途半端な大部屋は,まるでフェリーの1等室のようで,わたしにはとっても耐えられそうにありません.