わたしの小さなともだち

前に,知り合いの建築事務所のひとが言っていたはなし.
「ラブホの内装設計ってたぶん楽しい仕事だと思う」
ほんとうにそう思いますわ.
どんな内装設計でも,テーマを決めて,インテリアを決めていくのだろうけれど,本当のホテルではないので,パチモンでいろいろ遊べそうです.パチモン・コルビジェ・シリーズの部屋とか,パチモン・イームズの部屋(名づけてケース・スタディ・ルーム)とか.ファブリックもなんちゃってもんを探し出してきてね.パチモン・カリム・ラシッドの部屋なんて作ったらおもしろいかも.パチモン・森田恭通の部屋とかね.
逆にできないのは,エミリオ・プッチの部屋とか,ジョン・ポーソンの部屋かしら.

これまでにした医局人事の引っ越しのうち,もともと暮らしているマンションと2重生活をしたことが何回かあるのだけれど,このときにしたパチモン生活は今から思い出しても,とっても楽しかったですわ.
ホームセンターの安売りカーテンの中から目ざとく一番まともそうなのを見つけてきたり,組立家具をレイアウトしたり.
なかでもとりわけ楽しかったのが,安物の食器.ブルー・オニオンっぽい食器,とか,ティーマのパチモンっぽいカップとか,普段は絶対つかわないメルヘン調のカップとか.
とっても心が自由になって,いろいろ試してみちゃえますの.そのなかで,これは!という発見がありましたの.18歳の大学生みたいな気分も味わえたし.病院を替わるときにはさりげなく医局の食器棚に寄付(?)しちゃえばよかったし.

わたしとしては,普段はいいものをちょっとだけ買う,という生活を理想としたいのだけれど,いいものはお高いし,ほかのものとの調和を考えながら選ばなければならないので,とても難しいですわ.

大金持ちなら,いろいろなところに別荘があって,それぞれ違ったほんもののインテリアでいろいろな気分になれるのでしょうか?

男の人の浮気ってこんな感じなのかしら.

フリッツ・ハンセンのLITTLE FRIENDがわたしのおうちに来て,もうすぐ2か月ですの.それはそれは簡素なティー・テーブル.マニアなひと以外,誰も値段を信じてくれないけれど,ちょっとしたお値段でした.お部屋のどこに置いてもなじむし,どんなティーカップとも良い相性ですの.わたしだけの,愛人.LITTLE FRIENDって本当にそれらしい名前が付いていると思いますわ.

なかのひと