血液内科がなくなる日

ちょっと前に,外来で多発性骨髄腫の患者さんを見つけたので,近くの病院に送ろうとしたら,血液内科が休止になっていたということがありましたの.

かなり難しい理論を理解するだけのアタマと
最新の英文文献をがんがん読む勤勉さと
夜間・休日でも関係なく進めなくてはいけないことの多さについていく体力と
圧倒的に多い死にかかわらなくてはいけない精神力
これらが必要とされる血液内科は,産婦人科のようにマスコミに騒がれることもなく,静かに医師不足が進行しているのだと思います.
とりあえず今は,時間的・体力的なきつさから入局者が減っている段階.
でも,医学部のヘンサチが落ちることにより,血液内科へ進めるだけの能力の人の絶対数が減ってくる段階がすぐそこまで来ているのでは,と思います.

血液疾患の薬はとても高価なものばかりで,治療にはとてもお金がかかるし(高額医療費の上限ですむといえばすむのだけれど,それでもたくさん),キャパの問題でいいタイミングでの治療ができないことが増えてくるだろうし,やっぱり「白血病=不治の病」という時代になってしまうのかしら.

厚生労働省はATL撲滅に力を入れるみたいだけれど,減らせる患者を減らすことは,血液内科医の総業務量を減らす意味からもとても大切ですわね.