ノルウェイの森

行ってきましたわ,ノルウェイの森
ものすごい予算をかけて作られた,とっても贅沢で映像の美しい,村上春樹の小説「ノルウェイの森」のプロモーション・ビデオというのが,正直な感想.
原作のあらすじをちょんちょんちょんとつまんで,美しくしあげてあります.
服装とか,家具や電化製品など,時代考証もたぶんばっちりなんだと思います(ただし,緑のお父さんが入院していた病室の床頭台は,もっと新しい時代の製品だと思ってしまいましたわ.パラマウントとかでは,時代によってベッドのヘッドボードとかの色が違いますのよ).チョイ役に,糸井重里とか高橋ユキヒロとか,当時の若者だったひとを当てているところなんて,ドーダ感たっぷりだし.

わたしが小説で好きだったのは,突撃隊とか,永沢さんとかのディテールです.突撃隊のホタルはとても胸にしみるエピソードで,あれがなければ,突撃隊がいる意味がないし.名古屋の大病院の息子として生まれた永沢さんが,東大法学部に入って,女遊びをしすぎると行けないからと和敬塾に入れられてしまう,というバックグランドがあっての,ハツミさんとの関係だし.あと,レイ子さんのピアノの生徒の聴かせてしまうピアノの話とか.直子のアパートでのシーンでは,ビル・エバンスのワルツ・フォー・デビー(この録音のあとスコット・ラファロを亡くすという有名なエピソードですわね)なんていうベタな曲がレコードから流れていないといけないし.
これらは全部,映画には出てきませんの.だから,逆にそれがいいのかも.

これらのディテールをすべて映像に収めようとしたら,11回連続ドラマでは終わらなくて,半年もののドラマになってしまうだろうし,予算的にも破たんしてしまうと思います.
なので,これだけでは物足りなさ感のある映画だけど,いいのかな,っと.
また,本を読み返したくなりましたわ.