「天才でごめんなさい」

会田誠「天才でごめんなさい」が今,話題になっています.
たぶん,これをきっかけに,森美術館へ行ってみよう,と考える人も増えたことでしょう.
上野の森美術館の「アートで候」のときには,今回のような話題にならなかったのは,展示されている作品の違いなのでしょうか.それとも,わざわざ度がちがうから?

わたしが会田誠の作品を始めて観たのは,どこでだったのか,よく覚えていません.好きな作品をひとつ挙げなさい,といわれたら,わたしは「ジューサーミキサー」を選びます.
とても,衝撃的でした.でも,いつ,どこで初めて観たのかは,覚えていません.
今回,「天才でごめんなさい」が待ち遠しくて,1日目には行けなかったけれど,2日目にはお出かけしましたの.
2日目の森美術館はそんなに混んでいなくて,ゆっくりと作品を観ることができました.
全部まわったら,とっても疲れたましたわ.でも,めちゃくちゃ満足.

いつもの癖で,お客さんウォッチングをしたのだけれど,まあいつもこういうところでお会いするようなメンバーのほかに,「えっ」を思うような,とても場違いな(失礼)オバサンたちもいて,彼女たちが,「なんだか変なところに来ちゃったわ」という,とても当惑したような表情をしていたのが,とても印象的でした.
たぶん,「せっかく六本木ヒルズに来たのだから,なにか展覧会しているみたいだし,ついでに入ってみましょう」だったのでしょう.


いろいろなひとに観てもらうことと,どうしてもみたいひとだけに観てもらうこと.


「天才でごめんなさい」がたとえばオペラシティのようなちょっとアクセスの悪いところ(ごめん)で開催されていたとしたら,たぶん観たい人しか行かないでしょう.「ついで」であっても,新国立劇場に行く人しか行かないとなると,客層は限られてきます.
また,森美術館で開催するにしても,入場料を3,000円くらいに設定すれば,「ついで」のオバサンたちは来なくなる確率が高そうです.
そのためにわざわざ行かなければならない会場にするか,チケット代を上げれば,今回のような騒ぎにはならなかったような気がします.


でもね,わざわざでなくて「ついで」とか「なんとなく」で行って,初めて出会って心を揺さぶられることも大切だと思うのです.
Amazonでピンポイントに本を買うのでなくて,オシャレツタヤや丸善までお出かけして目についた本を買うのと同じ.
だから,今回,森美術館で大々的に宣伝をしてこれだけの作品を一挙展示するのは,多くの人々に会田誠作品との初めての出会いを提供するという意味では,意義があるのだと思います.というか,それが今回の展覧会の大きな仕事なのだと思います.

ただし,作品がキョウレツすぎるのはたしか.
R15展覧会+一部作品18禁部屋対応くらいにしておけば,無難だったのかも.
いや,もっと炎上してしまったかしら.